Syslogはネットワークデバイスやサーバーからログデータを集約し管理するための標準プロトコルです。
この記事ではSyslogサーバーのインストール方法から基本的な設定、そして実用的な運用のコツまでをわかりやすく解説します。
これによりシステム管理者や社内SEはネットワークやシステムの監視を効率的に行うことができるようになります。
Syslogサーバーのインストール
環境の選定
多くの場合LinuxがSyslogサーバーとして一般的に使用されますが、Windowsやその他のOS上で動作するSyslogサーバーソフトウェアも存在します。
環境に応じて適切な選択をしましょう。
Linux上でのSyslogサーバー(rsyslog)のインストール
多くのLinuxディストリビューションではrsyslogがデフォルトでインストールされています。
もし未インストールの場合は以下のコマンドでインストールできます。
sudo apt-get install rsyslog # Debian系の場合
sudo yum install rsyslog # Red Hat系の場合
Windows上でのSyslogサーバーのインストール
Windows環境ではサードパーティのSyslogサーバーソフトウェアをインストールする必要があります。
Kiwi Syslog ServerやSolarWinds Syslog Serverが人気の選択肢です。
インストーラーをダウンロードし指示に従ってインストールします。
Syslogサーバーの基本設定
設定ファイルの編集
rsyslogを使用している場合、/etc/rsyslog.conf
ファイルを編集して設定を行います。
Syslogメッセージを受け取るために以下の行のコメントを解除します。
module(load="imudp")
input(type="imudp" port="514")
これによりUDPポート514でSyslogメッセージの受信が有効になります。
※firewallの設定も忘れずに変更してください。
ログの保存場所の設定
受信したログメッセージを保存する場所を定義します。
例えば全てのログを/var/log/syslog.log
に保存する場合は以下のように設定します。
*.* /var/log/syslog.log
フィルタリングの設定
特定の種類のログメッセージのみを保存するためのフィルタリングルールを設定できます。
例えば、警告以上の重要度のログのみを保存する場合は以下のように設定します。
*.warn /var/log/warning.log
機器ごとに保存するディレクトリを分ける
Syslogサーバーで機器ごとにログを保存するディレクトリを分けることでログの管理を大幅に改善し、特定の機器からのログデータを迅速に検索・分析することを可能にします。
Linuxシステム上のrsyslogを例に設定方法を説明します。
テンプレートを定義する
機器ごとにログを分けるためにはrsyslogのテンプレート機能を利用して、ログファイルの保存パスに機器の情報(ホスト名等)を含める設定を行います。
template(name="DynaFile" type="string" string="/var/log/%HOSTNAME%/syslog.log")
上記の設定では%HOSTNAME%
部分が送信元機器のホスト名に置き換えられ、機器ごとにディレクトリが作成され、その中にsyslog.log
としてログが保存されます。
ルールを追加する
受信したログメッセージを上で定義したテンプレートに基づいて保存するためのルールを追加します。
*.* action(type="omfile" dynaFile="DynaFile")
このルールはすべてのログレベル(*.*
)のメッセージをテンプレートDynaFile
に従って処理するように指示しています。
ご利用の際は実際の環境に沿って設定を修正してください。
rsyslogの再起動
設定を反映させるためにrsyslogサービスを再起動します。
sudo systemctl restart rsyslog
実用的な運用のコツ
Syslogサーバーを実用的に運用する上でのコツは、効率的な監視、迅速な問題対応、そして長期的なデータ保全とセキュリティの確保に集約されます。
以下にそれぞれのポイントについて詳しく解説します。
効率的な監視の実施
- 重要度に応じたログの分類: ログメッセージを重要度や種類(エラー、警告、情報)に応じて分類し管理することで、重要なイベントを見逃さなくなります。これにはSyslogサーバーのフィルタリング機能を活用します。
- リアルタイム監視の設定: Syslogサーバーには特定のキーワードやパターンがログに現れた際にアラートを発する機能を設定できます。この機能を使いセキュリティ違反やシステム障害の兆候をリアルタイムで検出できるようにします。
- ダッシュボードの活用: 監視ツールやSyslogサーバーのダッシュボード機能を活用してログデータから得られる情報を視覚的に表示します。これによりシステム全体の状態を一目で把握できます。
迅速な問題対応のための準備
- アラート通知の最適化: アラートが発生した際に関連するスタッフに直ちに通知されるよう、EメールやSMSなど、適切な通知方法を設定します。
- トラブルシューティングの手順書の整備: よく発生する問題についてはトラブルシューティングの手順書を準備しておきます。これにより問題発生時の対応速度と精度が向上します。
長期的なデータ保全とセキュリティの確保
- ログのローテーションとバックアップ: ログファイルが肥大化しないように適切なローテーションポリシーを設定します。また、定期的なバックアップを実施し災害時でもログデータを復旧できるようにします。
- ログデータのセキュリティ: ログデータを暗号化し、不正アクセスから保護します。また、ログデータへのアクセスは厳密に制御し必要最小限のスタッフのみがアクセスできるようにします。
- 法的要件とコンプライアンスの遵守: ログデータの保持期間や扱いに関する法的要件を把握し、これを遵守するようにします。特に、個人情報保護法や業界特有の規制に注意を払う必要があります。
まとめ
Syslogサーバーのインストールから設定実用的な運用まで適切に管理することでネットワークやシステムの安全性と信頼性を大幅に向上させることができます。
社内SEとして効果的なSyslog管理を実現しましょう。
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